ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
「良かった……リラのことは受け入れてくれているのね」

ほっとして呟くとレオンが頷いた。

「母上はリラと会うのを楽しみにしているんだ」

「そうなのね。では早くご挨拶に行かないと」

ソフィア様に会うのは正直言って怖いけれど、リラにとってはお祖母さま。

良い関係を築けるといいと思う。

「このあと場を設けているんだ。イリスが大丈夫ならリラに会わせたい」

「大丈夫だけど、私も同席していいの?」

「ああ、当然だろ? 母上はイリスとも話したいと言っていた」

「私に?」

一体何の話があるのだろう。今になって身を退けとは言われないと思うけど……。

不安が顔に出たのかレオンが励ますように言ってくれた。

「大丈夫だ。俺がついている」

「うん……そうだね」

何が起きてもレオンがいれば大丈夫だと思える。

私たちはリラを連れてソフィア様の私室に向かった。

ソフィア様の私室はリラの部屋とは別の棟にあった。

窓からは豊な緑を眺めることの出来る落ち着いた雰囲気の部屋だ。

ソフィア様は座っていたソファーから立ち上がり、私たちを出迎えた。

「母上、ただいま戻りました」

まずはレオンが挨拶をする。それから私とリラに視線を移しソフィア様に紹介してくれた。

「イリスとリラです。本日よりこの城で共に暮らします」

私はリラとともに一歩前に出た。

「ルメール男爵の娘、イリスでございます。こちらは娘のリラと申します。どうぞよろしくお願い致します」

ソフィア様の表情が硬かったので、不安を覚えながら頭を下げた。

けれど返って来た言葉は思いの他、親しさが感じられるものだった。

「ようこそいらっしゃいました。レオンに聞いて到着を待ちわびていたのよ」

「あ、ありがとうございます」

予想が良い方向に外れたことで私は心底ほっとしながら頭を上げた。

微笑みを浮かべたソフィア様と目が合う。

ソフィア様は視線を私からリラに移して言った。

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