ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
終章
レオンは日を置かず、家臣に向けて私を皇妃にすると宣言した。

予想通り、反対するものが多く出た。

田舎の弱小貴族の娘に皇妃が務まる訳がないと、面と向かって言う者もいた。

けれどレオンの意思は変わらず、婚礼の儀の準備にとりかかった。

レオンは皇帝として有能だそうで、政務に関しては非の打ちどころがない。

私との結婚についても文句を言われないようにと、より一層仕事に打ち込んでいた。

私はソフィア様やレオンが付けてくれた先生から高位の女性としての嗜みや、皇妃になったときの公務に必要な知識を学んでいた。

特にソフィア様が厳しかったけれど、レオンの隣に立つのに相応しくなりたくて必死に努力をした。

私が皇妃として認められ力を持てばその分リラの立場は安定する。

いくらだって頑張れると思った。

一方リラも毎日忙しく過ごしていた。

皇女に相応しい知識を身に付ける為、正式に教育の先生を付けて貰った。

リラはなかなか賢いようで、子供の頃の私に比べ大分要領良く新しいことを覚えて行く。

「ママ、おべんきょう楽しいよ」

リラは本当に楽しそうに言う。やっぱり私の幼い頃とは全然違う。きっと頭脳はレオンに似たのだろう。

そんな風にそれぞれ忙しく過ごし、ついに婚礼の日を迎えた。

朝早くから身体を磨き、この日の為にレオンが用意してくれた、花嫁衣裳に身を包む。

ロングトレーンの高貴なドレスは、ラヴァンディエの皇妃が代々身に纏う由緒あるものと聞き、身が引き締まる思いになる。

私はこれを着るにふさわしい人になれたのかな?

緊張と不安と期待でいっぱいになっていると、部屋の扉が勢いよく開きリラが飛び込んで来た。

「わーママきれい!」

「ありがとう、リラも可愛いわ。小さな皇女さまね」

今日のリラはピンク色のレースをふんだんに使ったドレス姿だ。

実はこのドレスはセルジュが作ってくれたのもの。

ラヴァンディエの王宮に入ったあと、彼には直ぐに連絡をしていた。

事情を可能な限り説明し、戻れなくなったことを謝ると彼はとても驚いていたけれど、私とリラ幸せになるならと祝福してくれた。

そして、結婚のお祝いに何かを作って贈りたいと申し出てくれたのだ。

私は嬉しくてレオンに相談して、リラのドレスを作って貰うようにお願いした。

リラはセルジュを慕っていたし、きっと喜ぶだろうと思って。

案の定大層ドレスを気に入ったリラは、鏡で自分の姿を見てはしゃいでいた。

最近は、大分皇女らしくなっているけれど、私の前では元気な女の子の姿が出るみたいだ。


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