ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
「帝国兵がこのルメール村に近付いていると報告が入った。目的はレオン様を捕らえることだ」

そうはじまったお父様の話は私にとって信じ難い内容だった。

「うそ……まさか……」

彼はラヴァンディエ帝国の皇子だけれど、年齢と生母の身分の低さから帝位継承争いとは無縁の存在だった。だから帝都から遠く離れたこのルメール地方で暮らすレオンに関心を向ける者はこれまでにおらず、平和に暮らして来れたのだ。

継承争いも、がレオンの異母兄の第一皇子が次期皇帝と正式に決定したことで終わっている。

それなのに今頃になってなぜ兵士がやって来るの?

理解できず、私は身を乗り出してお父様を問い詰める。

「どうして? 今更レオンを捕らえに来るなんて」

「第一皇子の皇帝即位に反対した者たちが第七皇子を旗頭に謀反を起こしたそうだ。帝位継承権を持つ皇子を次々と亡き者にし、ついにはレオン様にまでその牙を向けて来た」

「そんな! 信じられない」

レオン同様、帝位から遠い第七王子が争いを起こすなんて。

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