ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
息苦しさを感じながら、喉から声を絞り出した。

「レオンは大丈夫なの? あんな沢山の追っ手から逃げられるの?」

どくどくと鼓動が乱れている。

「護衛が付いているし、レオン様自身、身を守る術を持っている。きっと逃げ果せると信じよう」

「でもこの村を出てどこに向かうの?」

安全な場所など有るのだろうか。

帝都から遠く離れたこの地域には、帝国兵に抵抗出来るような有力貴族の家はない。レオンが身を寄せられるところなんてあるの?

お父様は窓の外に目を向けてから言った。

「地図はあるか?」

「はい」

ソファーから立ち上がると、急ぎ本棚から地図を持って来てテーブルに広げた。

私の勉強用の地図なので詳細なものではない。我がラヴァンディエ帝国と周辺国家のみの限られた地域のものだが今はこれで問題ないはず。

お父様は指で地図上の帝都に近い位置を指した。それなりの規模の町のようだ。

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