ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
ほどなくして帝国兵は私達の住む館に到着した。

兵士の責任者は、灰色の騎士服を纏う兵士達の中、ひとりだけ赤の騎士服姿でとても目立っていた。

長身で豪奢な金の髪と冷たそうなグレーの瞳が印象的だ。

年齢は若く二十を少し超えたくらいに見える。身なり立ち振る舞いからおそらく帝都の貴族だろう。

彼がお父様に質問をしている間に、部下の兵士たちが館中を検めていった。

大勢の見知らぬ兵士たちが大切な家の中を勝手に歩き回るのを私とお母様は広間の片隅で震えながら眺めることしか出来なかった。

お父様が言っていた通り、兵士たちが私達に危害を加える気配はなかったけれど、静かだった館は踏み荒らされ、館の外からはレオンを探す怒声が聞こえて来るのが恐怖だった。

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