ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
「セルジュ!」

飛び出して来たリラがニコニコしながらセルジュに駆け寄り手を伸ばす。

「だっこして!」

彼女はセルジュに慣れていて、顔を合わす度にこうやって抱っこをせがむ。長身の彼に持ち上げて貰うのが楽しいらしい。

「いいよ。ほーら、高い高い」

「うん、たかいー」

リラはすっかりご満悦の様子だ。

背の低い私の抱っことは違う景色が見られるので新鮮なのだろう。だけどいつまでもセルジュに面倒はかけられない。適当なところでリラをセルジュから引き取った。

「リラ、絵本を読んでる途中だったでしょう?」

「あ、そうだった……セルジュまたあそぼーね」

「ああ、また高い高いしような」

リラは大きく手を振るとトコトコと室内に戻って行く。

その様子を見たセルジュがくすりと笑った。

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