ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
「お気遣いありがとうございます。でも、リラはこの町での遊びで十分です」

セルジュの貴重な休みを私達に使って貰うのは申し訳ない。それに湖の避暑地はラヴァンディエ帝国国境に程近い。警戒しすぎかもしれないが、リラを帝国に近付けたくないと思っている。

私の反応にがっかりしたのか、セルジュは肩をすくめた。

「遠慮しなくていいのに。気が変わったらいつでも言ってくれ」

「ありがとうございます。いつも気にかけてくれて本当に感謝しています」

「改まって言われる程のことでもないよ。さっきも言ったけど助け合いだし、リースが働いてくれてうちも助かっているのだから……じゃあ俺はそろそろ帰るよ、また明日」

セルジュは少し照れたようにしながら手を振って去って行く。

小さくなる後ろ姿を見送ってから、私は中断していた家事の続きに取り掛かった。


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