ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
「ママ、おかえりなさい」

叔母の家に迎えに行くと、ふっくらした頬をピンクに染めたリラが嬉しそうに駆け寄って来た。

「ただいまリラ」

抱きついてくるリラを抱っこする。

「リラちゃん、ママが迎えに来て嬉しいね」

いつも面倒を見てくれている叔母が見送りに来てくれた。

「叔母さま、いつもありがとうございます」

「いいのよ。親戚じゃない。リラちゃんがいると家が明るくなってみんな楽しく思っているのよ。今日は具合が悪くなることもなく元気に過ごせたから安心して」

「はい。ありがとうございます。本当に助かります」

心からの気持ちを伝えると、叔母さまは明るく笑った。

「そんな畏まらないで。ああ、そうだ。リラちゃん胡桃のクッキーを気に入ったみたいなの。今度多めに作って届けるわ」

クッキーが大好きなリラの為に、叔母さまはいろいろな種類のものを手作りしてくれている。

「お気遣いありがとうございます。ほら、リラもお礼を言いなさい」

私に促されリラは小さな手を叔母に向け、ちょこんと小さな頭を下げる。

「クッキーありがとうございます」

叔母は優しい目でリラと握手をした。

「いいのよ、リラちゃん、また来てね」

「うん、またね」

リラは屈託なく笑って答えた。

この村のみんなには本当に助けて貰っている。

私とリラが生きていけるのは、みんなの優しさのおかげだ。

温かな気持ちでリラとふたり、家までの道を手を繋いで歩く。

「ママ、きょうはちょっとおそかったね」

「ごめんね、お仕事が忙しかったの」

「そーなの? ママのおしごとはおようふくつくり。リラもおおきくなったらつくれるかな」

無垢な黒い瞳で見つめて来るリラを見ていると、レオンを思い出すことがある。今日は特にレオンの面影を強く感じた。きっとこの先もこんなことが何回もあるのだろうと切なさがこみ上げる。

「作れるよ、いつか教えてあげるね」

嬉しいと笑うリラをよいしょと抱っこした。

「だっこだー」

ニコニコするリラをぎゅっと抱きしめると、悲しい気持ちが消えそうな気がした。

「リラ大好きよ」

「リラもママがだいすき!」

可愛らしい声が上がったそのとき、思いもしなかった声が聞こえて来た。

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