ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
夜も更けていたので、レオンは私達の小さな家に泊まって行った。

勿論寝室は別々だ。客室はないので、レオンには私の寝室で寝て貰った。私は子供部屋のリラのベッドに入れてもらう。

横になっても神経が高ぶって眠れなかった。

薄い壁ひとつ隔てた向こう側で彼は何を考えているのだろう。

自分から別れを言ったのに、頭の中はレオンのことばかり。

切なくて寂しくて、縋るように小さなリラの身体をぎゅっと抱きしめた。



結局一睡も出来ずに朝を迎えた。

窓からは明るい光が差し込み、小鳥のさえずりが聞こえて来る。

時計を見るといつも起きる時間より大分早い。けれど、どうせ眠れないのだから起きることにした。

リラを起こさないようにそっとベッドから抜け出して身支度をする。

部屋を出ようとすると、なぜか胸騒ぎを覚えた。

振り返りリラの眠るベッドに目を向ける。

小さなリラが寝息を立てて眠っていた。いつもと変わらない光景だけれど妙に気になり、私はベッド脇に戻り身を屈めた。

瞬間、私は目を見開き息を呑む。

悲鳴を上げそうになるのを堪え、恐る恐るリラに手を伸ばし、額にかかる前髪をかきあげた。
ドクンと心臓が嫌な音を立てた。

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