ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
昼過ぎになるとリラがようやく目を覚ました。

真ん丸の目をぱちりと開くと、うーんと気持ちよさそうに伸びをする。

その様子はいつもと変わらず、早朝のぐったりしていた様子が嘘のようだった。

じっと様子を観察していると、リラがにこりと笑って言った。

「ママ、おはよー」

「おはよう、ねえリラ、どこか痛いところはない?」

目に見える範囲では問題無さそうだけれど。

リラはきょとんとした表情で首を傾げた。

「いたくないよ? おなかはすいたけど」

「そう。どこか痛くなったら直ぐに言ってね」

「うん」

リラは不思議そうにしながらも、素直に頷く。それからふと思い出したように声を上げた。

「レオンはまだいる?」

「え?……ええ、いるよ。今は少し出かけているけど」

そう答えるとリラは嬉しそうな笑顔を浮かべた。

「レオンとあそびたい」

どうやら彼を気に入ったようだ。親子だから本能的に惹かれれるものがあるのだろうか。

「遊ぶ前にご飯にしようね」

リラにラヴァンディエ行きの件を説明する必要もある。

私は台所に行き、簡単に朝食の支度を始めた。

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