ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
◇◇◇
久しぶりに昔の夢を見た。
大切な愛しい日々の思い出……。
目が覚めた後も夢の余韻に浸っていたくて、もう一度目を閉じようとすると舌たらずな可愛いい声が耳に届いた。
「ママおきて、もーあさだよ」
一気に現実に戻り、パチリと目を開く。
「あ、おきた。ママおはよー」
私の顔を遠慮なく覗き込む小さな真ん丸の顔が目の前にあった。
「リラ、おはよう……今日は随分早起きなのね」
「うん、おなかすいたの」
無邪気な愛娘の姿を見ていると自然と顔が綻んでくる。
ぷにぷにとしたほっぺたをつついてから、ベッドから起き上がった。
リラと一緒に身支度を始める。井戸の冷たい水で顔を洗い着替えに入る。
私は動きやすい丈のスカートとブラウス姿のいつもの恰好。リラは頭からすっぽり被る形のワンピース。
自分の長い金髪を簡単に一つにまとめてから、リラの綺麗な銀髪を三つ編みにする。
彼女は最近三つ編みがお気に入りだけど、まだ毛が細くてフワフワしているから結いづらい。
「はい、出来あがり」
なんとか仕上げて、毛先に小さな水色のリボンを付けてあげるとリラは声を高くした。
「あたらしいリボン!」
「可愛いでしょ? リラの銀の髪に似合ってるわ」
「ほんと? うれしい」
リラは頬を染めて微笑み、それから不思議そうな顔をした。