ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
「お待ちしておりました」

院長先生は、レオンに深く頭を下げる。

皇帝陛下などと言葉にはしないけれど、レオンの身分を知っているのではと思える態度だった。

一方ミゲル先生は、私達をターナー先生の患者と受け止めているようだった。

「ターナー先生の紹介状は読みました。慎重に検査をして不安を取り除きましょう。よろしくお願いします」

「ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします」

私は深く頭を下げてからリラを紹介する。

畏まった挨拶は初めてだから大丈夫かと心配だったけれど、リラは三歳とは思えない程しっかりとした態度でお辞儀をした。

「はじめまして、リラです」

マナーの先生もつけられなかったと言うのにその振舞いは気品すら感じる程で、思わず見入ってしまった。

院長先生も同じように戸惑った様子で、ミゲル先生は明るくリラに挨拶を返してくれた。

「小さなレディだね。よろしくね」

一通り紹介が終わると、早速リラの検査を始めた頂いた。

慣れない環境の中、初めての検査で怖がって泣いたらどうしようと心配だったけれど、先生たちは子供の扱いに慣れているようで、すんなりと検査を終えられた。

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