ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
「わあ! かわがみえるよ」

リラはこの場所を気にいったようで、嬉しそうにはしゃいでいる。

「ママ、レオン、むこうでたべたい!」

リラは川により近い芝を指さしながら私達を急かす。

「リラ、そっちに行ったら駄目だ」

張り切り過ぎて川の方へ走って行きそうなリラを、レオンが追いかけて捕まえる。

せがまれたのか、彼はリラを抱っこしたまま、ゆっくりと川辺に向かって行った。

いつになくはしゃぐリラを見ていると申し訳ない気持ちになった。

こんな風に家から離れた遠い所に連れて来てあげたことはなかったけれど、幼児には必要な経験のように感じた。

私はいろいろと不安になるばかりで、リラの自由を奪っているのでは?

独りよがりになっているのかもしれないと、今までにない考えを巡らせながら、楽しそうなふたりを眺めていた。



のんびりとした休日を過ごしてから部屋に戻った。

はしゃぎ疲れたのかリラはベッドに入ると直ぐに寝息を立てはじめた。

その夜は目覚めることもなく、気持ち良さそうに朝まで眠っていた。

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