ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
十日後に、カイルを通して連絡が入った。

帝都で少し問題が起きていてカサンドラに戻るのに時間がかかりそうだとの知らせだった。

けれど必ず戻るから待っていて欲しい。困ったことがあれば遠慮なくカイルに伝えるようにとのことだった。

連絡が来たことが思いの他嬉しくて私は直ぐに返事を書いた。

検査の結果は良好で治療も順調に進んでいること。リラがレオンに会いたがっていること。最後に、ふたりで帰りを待っているからとしたためた。

保留にしている今後については、手紙には書かなかった。

けれど私の中ではもう結論がほぼ出ている。

再会してからのレオンとの会話。私自身の気持ち。それからリラの様子。

全てを含めて考え、勇気を出してレオンと共に生きる未来を考えようと決心した。

未だにリラの身が不安ではあるけれど、レオンを信じようと思う。

彼は私達のことを心から想ってくれているし、守ると誓ってくれている。その言葉を信じると決めたのだ。

早くその気持ちを伝えたい……。

急ぎ綴った手紙をレオンに届けて欲しいとカイルに頼んだ。

カイルは、私の手紙を鍵のかかる箱に仕舞った。

「手紙は確かにお預かりしました。必ずレオン様のお手元に届けます」

「お願いします」

レオンの口ぶりでは、カイルはかなり有能のようだったから、間違いなくレオンに届くだろう。

そういった面は信用している。ただカイルに全てを頼るのは無理だ。出会いが悪すぎた。それに彼が何を考えているのか、無表情な顔からは伺えないからいつも落ち着かない気持ちになる。

今だって用は済んだはずなのに、なぜか部屋を出ていかない。

怪訝に思っていると、彼はもの言いたげな視線を私に送って来た。

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