ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
「レオンがリラを連れて行くと言ったのですか?」
そう問えばカイルは眉間にシワを寄せた。
「レオン様はあなた達親子にのみ非常に甘い。その為断言はされていませんが、状況を考えれば当然でしょう。皇家の血を引く姫君を市井に置いておくわけにはいかないのですから」
「ではやはりあなたが勝手に言っていることなのですね? リラは確かにレオンの娘だけれど皇女の身分ではありません。宮殿に行かなくても今のところ何の問題もありません」
ほっとしながら言うと、うんざりとしたように溜息を吐かれた。
「あなたは本当に世間知らずですね。そんな言い分が通じたのは過去の話です。既にレオン様との再会を果たした今、姫君をこれまでの生活に戻すのは不可能です」
「レオンが許さないからですか? でも彼は……」
「そうではなく、周りが放っておかないでしょう」
カイルの発言が理解できず私は口を噤んだ。
「レオン様はティオール王国の田舎町に、イリス・ルメールと思われる女性が居るとの情報を得て、秘密裡に王宮を出ました。僅かな信頼出来る部下と共に行動している為、あなた方の存在を知っている者は限られています」
「それなら何も問題ないじゃないですか」
カイルは何が言いたいのだろう。勿体つけた言い方はわざと不安を煽っているようだ。
「問題はあります。そのような状況でも秘密が漏れないとは言い切れないからです」
「……どうして?」
「分かりませんか? あなたはご自分が思われているより人目を引くんですよ。姫君と一緒に居ればなおさらだ。道ですれ違っただけでも印象に残る。レオン様よりも前に偶然あなた達を見つけたラヴァンディエ貴族が居ても不思議はない」
心臓がドキリと音を立てた。
まさか……そんなはずはないと思いながらも、気分が悪くなっていく。
そう問えばカイルは眉間にシワを寄せた。
「レオン様はあなた達親子にのみ非常に甘い。その為断言はされていませんが、状況を考えれば当然でしょう。皇家の血を引く姫君を市井に置いておくわけにはいかないのですから」
「ではやはりあなたが勝手に言っていることなのですね? リラは確かにレオンの娘だけれど皇女の身分ではありません。宮殿に行かなくても今のところ何の問題もありません」
ほっとしながら言うと、うんざりとしたように溜息を吐かれた。
「あなたは本当に世間知らずですね。そんな言い分が通じたのは過去の話です。既にレオン様との再会を果たした今、姫君をこれまでの生活に戻すのは不可能です」
「レオンが許さないからですか? でも彼は……」
「そうではなく、周りが放っておかないでしょう」
カイルの発言が理解できず私は口を噤んだ。
「レオン様はティオール王国の田舎町に、イリス・ルメールと思われる女性が居るとの情報を得て、秘密裡に王宮を出ました。僅かな信頼出来る部下と共に行動している為、あなた方の存在を知っている者は限られています」
「それなら何も問題ないじゃないですか」
カイルは何が言いたいのだろう。勿体つけた言い方はわざと不安を煽っているようだ。
「問題はあります。そのような状況でも秘密が漏れないとは言い切れないからです」
「……どうして?」
「分かりませんか? あなたはご自分が思われているより人目を引くんですよ。姫君と一緒に居ればなおさらだ。道ですれ違っただけでも印象に残る。レオン様よりも前に偶然あなた達を見つけたラヴァンディエ貴族が居ても不思議はない」
心臓がドキリと音を立てた。
まさか……そんなはずはないと思いながらも、気分が悪くなっていく。