ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
第六章 高貴な姫君の悪意
それから更に半月が過ぎた。

レオンからそろそろ戻れそうだと頼りが届き、私はとてもほっとした気持ちになっていた。
思っていた以上に、レオンの帰りを心待ちにしていたのだと実感する。

カイルに知らされた事実で不安になっていたことはある。けれどそれ以上にただ純粋に彼に会いたいと思った。

そんな中、私はリラの病状について、改めて先生たちに質問をしていた。

もう長く検査をしているがはっきりとした病名を告げられていないのだ。

でもリラの体調は、ティオール王国に居た頃より確実に良くなっていた。

熱に悩まされることもないし、謎の湿疹が出ることもない。

疲れた様子もなく元気いっぱいで、食欲も旺盛だ。

だからほっとしていたけれど、今後のこともあるので原因をはっきりと知っておきたかった。
先生に時間を取って頂き、質問をしたのだけれど、院長先生もミゲル先生もどこか不自然に強張った顔で曖昧に言葉を濁した。

「今のところリラちゃんの症状は落ち着いていますが、まだはっきりとした原因は分かっていません」

「そうなんですか? 検査を初めてから大分時間が経っているので、そろそろ結果が出るだろうと思っていたのですが」

「リラちゃんのような食物から影響を受けていると思われる病は、原因を調べるのに時間がかかるんですよ」

本当だろうか。

疑問が湧き上がったけれど、医術に関して素人の私には反論する材料がない。

先生はとても良くしてくれているから、疑っている訳じゃないのだけれど、何かが引っかかる。もやもやとした気持ちが消えなかった。

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