まさお
あまりの羊の数に圧倒されて怒る気にもならない、視界一面の羊だ。
若干の恐怖すら感じる。
とりあえず言われるままにまさおはちゃぶ台に腰を下ろした。
眼の前には麦茶…。
手を付けられずに眺めていると、昼飯まで運ばれてきた。
たしかに、そろそろ昼の時間だ。

しかし、ひとの家でなにを勝手に…

まさおが口を開きかけるが、出てきた料理を見て動きが止まる。
なんとも美味そうな匂いと見た目だ。
ぐぅ~とタイミングよく腹も鳴った。

綺麗に焼けた魚にほかほかのご飯。白ごまの振られたお浸しに、鮮やかな卵焼き。
お袋の出してくれた料理にそっくりだ。

ごくり。

まさおが空腹の誘惑にかられていると、



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