月の記憶、風と大地
ドラッグストアである。
静京香から回収した解答用紙を受け取った津田は、それに目を通し呟く。
「これだけ出来ていれば問題ないな」
解答用紙をパソコンの置いてあるデスクに置いた。
「良かった、これで人が増えますね」
後台が答える。
「感じが良い人でしたね。それに津田さんより年上なのに、そうは見えなかったです。綺麗な女性ですよね」
後台が続けて云うと話を聞いていた静 京香も頷く。
「久しぶりにあたりかも」
表情を変えずに口を開く。
機嫌が悪いわけではなく、こういう性格の娘らしかった。
「京香ちゃんも、そう思いますか」
「後台さん」
京香の冷たい声が響く。
「名前で呼ぶの、やめてくれませんか。何回注意すればわかるんです?」
呆れたように腕を組む。
華奢に見えたが筋肉質な腕だ。
バストが強調される。
後台が拗ねたように口を尖らせた。
「美しい可愛い名前なので、つい」
「関係ないでしょ?」
「ああと、静さん。君が今ここにいるということは、レジは誰がいるのかな?」
津田が言葉を挟んだ。
「お客様がいないからってレジから抜けたらダメだろ。そら仕事、仕事」
静は頷き店に戻っていく。