月の記憶、風と大地
離婚届けか受理された登録販売者試験から一ヶ月後。


「試験合格、おめでとうございます」


弥生は無事合格し、その報告を店舗に済ませた。


「弥生さんなら大丈夫だと思っていました」
「津田さんより上ですね。一発合格ですもん」


後台と静の祝福を受けて弥生は照れ笑いを浮かべた。

資格試験に合格したといっても、すぐに資格者になれるわけではない。
店舗で二年間の実務経験を積み、そこで初めて資格者となれるのだ。


「これからもドラッグストアで頑張っていきたいです。販売員として、まだまだ鍛えていきます」


弥生が両手で拳を肩の上あたりで作り笑顔を見せ、後台は細い瞳で頷いた。


「津田さんは店長会なんですよね。でも夜は店に来るそうです。穣くんをよろしくって頼まれています」

「今日の店長会、面倒だって云ってました。理由は訊きませんでしたが」



津田には他にも報告しなければならないことがある。






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