月の記憶、風と大地
弥生、穣、津田が三人並んでいる。

今の人生で良かったのか。

人生には教科書はない。
解答もない。

だからどれが正解なのかも分からない。


結局、和人は美羽の元へ。
自分は津田と穣と共に新しい道を歩み始めている。


「弥生は難問ばかりだった。でもそれに挫けなかった。だから今があるんだろうな」


津田が笑った。


「それにしても、そろそろ根をあげてきたんじゃないのか?専業主婦でもいいんだぞ」
「それが残念ながら私は、動いている方が合っているみたい。自分でも気づかなかったわ」


体力も付き、以前の弥生より更に若々しくなり生命力に溢れている。


「あなたと喧嘩しても悩み事でも仕事をしていると、どうでもよくなるの。良くも悪くもね」



専業だろうと兼業だろうと、主婦であることには変わりない。
それぞれ思う所はあるのだろうが、少なくとも弥生にはどちらも素敵な選択に思えるようになっていた。


「パパと晩ご飯作ったんだよ。ぼくがニンジンの皮を剥いたんだ」


夕飯のメニューはカレーで男親子二人で作ったらしい。


「ありがとう。お腹空いちゃったな、早く食べたい」
「うん、一緒に食べよう」


三人は横並びに穣を真ん中に手を繋ぐ。



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