月の記憶、風と大地
その夜、月が出ていた。
満月である。
津田、弥生、穣は室内からそれを見上げる。
和人と美羽も場所は違うがその月を見ていた。
津田と穣、弥生が出会ったあの公園も月が照らし風が吹いている。
風は時たま悪戯するかのように無人のブランコを揺らし、大地はそれにさらされながら月の光を受け止めていた。
弥生と和人は分かれ道で違う道を歩むことを決めたが道は繋がっている。
この二人の選択が全てではない。
どこかでまた出会うこともあるだろう。
道は違えど想いは同じ。
それぞれ皆、再び歩み始めていた。