白牙物語
「お前1年だろ?」


「え?」


声が返ってくるなんて思いもしなかったから驚いた。


桜の木の下に寄りかかって睡眠でもとっていたような態勢をしている一人の男の人がいた。


桜が風に乗って散る中その桜とは対照的なきれいな黒髪が風になびいている。


校則もさほど厳しくないこの学校では髪を染めても何も言われない。それなのに染めもしない


でただ軽くセットしているだけなんて逆に珍しいかもしれない


「おい」


その言葉に我に返った。


「あ、そうですけど…」


「なんで入学式に出てないんだ」


「あまり人がいるところは好きじゃないので」


「そうか」


「あなたは?」


この人もここにいるということはさぼりだろう


ただうちの学校は男子はネクタイ、女子はリボンの色で学年が分かるようになっている。


私たち一年生は赤  二年生は青  三年生は緑


この人のネクタイは青色 つまり二年生だ


「おれはただのさぼりだけどさ」
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