その瞳に私を写して
「私今から、編集長の家に行くんだけど、ついてくる?」

「うん!行く!!」

勇平は、手をあげて喜んだ。

「その代り、静かにしててね。」

「はい!黙って座ってます!」

麻奈は子供のようにはしゃぐ勇平を見て、フッと微笑んだ。


しばらくして、麻奈と勇平達が編集長の家から出てきた頃には、すっかり日も暮れていた。

「静かにしててって、言ったでしょ!」

黙って座ってるだけだと言うから、一緒に編集長の家に、お邪魔させてもらったのに。

すっかり意気投合した編集長と勇平は、話す話す話す!

しかも勇平が、英語ペラペラというのがまた、麻奈の癪に障った。


そのおかげで、帰るのが遅くなってしまったのだ。

「ごめんなさい!」

そう言って勇平は、憎めない笑顔で手を合わせた。

「いいよ。」

へへへへっと、嬉しがる勇平。

だから他の人は、この笑顔にやられてしまうんだろうと、麻奈は思った。
< 15 / 81 >

この作品をシェア

pagetop