その瞳に私を写して
「それよりお腹空いたでしょ。何か食べに行こう。」

何か下心が、あるわけではなかった。

ただその笑顔で、かわいい後輩とでも麻奈は、思ってしまったんだろうか。


「本当すか?」

勇平は喜びを、全身で表現した。

「何がいい?」

「肉!肉肉肉肉肉!」

「じゃあ、ステーキの美味しい店、連れて行ってあげる。」

「やっり~!!」

やっぱり男の子だな~。

麻奈は、そう思った。


それからステーキの美味しい店に行った、麻奈と勇平は、いろんな事を話した。

恋愛の事、仕事の事、趣味の事、お酒の話から最近の天気、髪型の話まで。

さっきまで編集長と、あんなに話していたのに、まだ話すのというくらい二人は話した。


麻奈は、”久しぶり”に、勇平に会った。

けれどこんなに誰かと話したのも、”久しぶり”だった。


楽しい時間程、過ぎ去るのは早い。

あっという間に、店を出る時間になった。


「ごちそうさまでした。」

そう言って彼は、深々と頭を下げた。
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