その瞳に私を写して
同居の始まり
それから麻奈の家までの時間、15分はあっという間だった。


「じゃあね。気をつけて帰ってね。」

振り返って、家に入ろうとする麻奈を、勇平は無言で遮った。


えっ?何?

もっと私と一緒に、いたいとか?

麻奈は、そんな事を思ってしまった。


「あの……家にあがる?暖かいコーヒーでも入れるよ。」

「……はい。」

勇平は、得意の笑顔になった。


人は何歳になっても、純粋に恋ができるものなのか。

そんな風に思いながら、麻奈は部屋へ入った。


しかしそんな、甘々な感情が打ちのめされるのに、1時間とかからなかった。

「そう言えば、坂下君が泊まっているホテルは、ここから近いの?」

「まあ…近いといえば、近いかな近いかな。」


コーヒーを、マグカップに注ぎながら麻奈は、話を続けた。

「どのくらい前からNYに?」

「一ヶ月?」

少し違和感を感じながら、麻奈はコーヒーを持ち、リビングに移動した。
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