その瞳に私を写して
数日後。

朝起きて、麻奈は自分の記憶を、必死に辿ってみた。


リビングにある、自分が写っている写真。

どう考えても、自分が飾った記憶がない。

しかも、このフレームには、正也とのツーショット写真が飾ってあったような……


「よく、撮れてるでしょ。」

後ろから勇平が、突然顔を出した。

「この前、セントラルパークで撮ったでしょ?その時の写真。」

「へえ~、あの時の……」

ちょっと待ってと、麻奈は思った。


「このフレームに写真飾ったの、勇平君?」

「うん!」

「飾る前に違う写真あったよね。」

「うん!」

「その写真どうしたの?」

「捨てた!」

「えっ~~~!!」


麻奈がまだ正也の事を忘れられないと、捨てていなかった写真を、勇平はいつの間にか、捨ててしまっていたのだ。

「麻奈さん、分かれた人との写真は、いつまでも持ってたじゃダメですよ。」

しかも、年下の男の子に、教えられる羽目に。
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