その瞳に私を写して
「どこに行こうか。」

「少し奮発してもいいよ!俺、金出すし。」

「えっ……」

麻奈は、心配になった。

勇平がバイトしてるって聞いたけれど、そんなに給料いいのかなと。


「じゃ~ん、めでたく、契約が決まりました!」

「ええっ!!」

勇平は急に、麻奈の前に出て、両手を広げた。

「実は一社だけ、結果が遅れてたんだよね~。それが見事に引っかかって!」

「本当なんだ……」


よかった

本当によかったと、麻奈は思った。

「だから、」

勇平君は、麻奈の隣に来た。


「これからは、麻奈さんに美味しいもの、いっぱい食べさせてあげれられるから。」

勇平は、麻奈の目をじっと見つめた。

そのキラキラした眼差しに、麻奈は思わず目を反らす。


「今までだって十分、美味しいモノ食べてるよ。」

「あっ、そうか。食事って俺、作ってたんだっけ。」

「ちょっと!」

麻奈は、勇平の腕を叩いた。

そして勇平は、笑い過ぎるほどに笑っていた。
< 38 / 81 >

この作品をシェア

pagetop