その瞳に私を写して
何を取り出したかと思えば、麻奈と初対面の時に、正也に渡した名刺だった。

1年前の物を、よく持っていたね。しかも渡した時は、ろくに見ないでしまったくせに。

麻奈は、心に中でまた、正也につっこむ。


「おお~麻奈(マナ)ちゃんか!」

下の名前を知るって、そんなに驚く程の事か。

麻奈は、心の中で呟いた。

「俺の好きな名前。」

うそつけ、うそつけ。

「ところで麻奈ちゃん、」

正也は早速、”ちゃん付け”で、麻奈を呼んだ。

「仕事好きだろう?」

核心を突かれた麻奈は、茫然とする。


「うん、まあ。」

「あんた、才能ないけど、仕事好きみたいだから大きくなるよ。」

「本気でそう思ってるの?」

「俺は嘘つかないぜ。」

それが、麻奈と正也が、付き合うきっかけで、二人の始まりだった。
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