その瞳に私を写して
「はははっ。ありがとう。」

勇平は、嬉しそうに笑っている。


「今日、連れてきてくれたのは、これを見せる為だったんでしょう?」

「ああ、それもあるけれど、本当の理由はもっと、奥の方にあるんだ。」

「えっ?」

そう言われて、一番奥に飾ってある写真を見て、麻奈は息を飲んだ。


それは、麻奈が写っている写真だった。

しかも、他の写真よりも数倍大きい。

その写真の脇には、”highest award”(最優秀賞)の文字が……


言葉が出なくて、麻奈は勇平を見るのに精一杯だった。

横の勇平は、人に見られないように、小さくピースをしている。


「この前セントラルパークに行った時に、麻奈さんを写した写真。」

「うん。」

「思いのほか、上手く撮れまして。」

「うん。」

「写真展に応募したんだ。」

「うん。」

「その結果。」

「……うん。」


人が取った賞で涙を流したのは、麻奈は初めてだった。
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