その瞳に私を写して
その次の日に、二人で買い物に出かけた。

勇平は、朝からそわそわしている。


「今日は何か、いい事でもあるの?」

「いい事って言えばいい事かな。」

そう言って、楽しそうにしている勇平を見て、麻奈は素直に、可愛いと思った。


「勇平君、ガス消した?」

「消しました。」

「電気は?」

「消しました。」

「って、勇平君に聞く事じゃないよね。」

「でも、麻奈さんだったら、本当に消したかどうか覚えてないから、やっぱり俺が見た方がいいかも。」

「言ったな~。」

そう言って笑いながら、二人で外へ出た。


「麻奈さん、鍵かけた?」

「あっ!」

「ほら~。」

「うそ、かけた。」

冗談のつもりだったのに、疑いの目で勇平は麻奈を見ている。


「かけたよ。」

「分かった。じゃあ行こうか。」

「もう~信じてないでしょう。」

そんな事言いながらでも、二人で出かける時間は楽しい。


自分の知らない話でも、一緒にいる彼の話なら、笑って聞く事ができる。

どんな些細な事でも、勇平の事ならば知りたいと思う。

麻奈は、そう思った。
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