その瞳に私を写して
キスまでの質問
秋も深まり、麻奈と勇平の同居生活も、3ヶ月を過ぎた。

勇平は相変わらず、麻奈に優しい。

しかし、麻奈も相変わらず勇平には、はっきりしない態度を取っていた。


勇平を好きだと言って、付き合うのは簡単なような気がした。

それよりもふとした時に、勇平と正也を重ね合わせてしまうんじゃないか。

その事で、勇平を傷つけてしまうんじゃないか。

麻奈は、そんな気がしていた。


誰だって自分が、誰かの身代わりなんて、そんなつらい経験はしたくない。

自分を見つめていた。

その瞳は、自分の後ろにいる、違う人を見つめているのだから。


今日はなんだか、冬が始まったかのように風が冷たい。

麻奈が家の前に着き、自分の部屋を見ると、明かりはまだついてない。

勇平はまだ、帰っていないのだろう。

家の明かりが、こんなにも安らぐものだったのか。

一人で暮らしていては、分からない事だった。
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