その瞳に私を写して
あまりの自信に、麻奈の口からワインが、零れそうになる。

「ちょっと、勇平君。」

「違うの?」

勇平は真面目に、聞いてくる。

「違うのって・・・」

「俺はいつも、麻奈さんの事考えてるよ。」


時間が止まるというのは、こういう事を言うのか。

「ははは……いつもの冗談?」

麻奈は、逃げるようにダイニングの椅子から、ソファに座った。

「冗談?」

「だって勇平君、いつも私の事……」

「私の事?」

勇平もソファに来て、麻奈の顔を覗く。


「あの…その……」

「なんて言ってるの?」

「それは……」

「好きだって、言ってるでしょ。」

勇平の顔にいつもの笑顔はなく、真剣な表情をしていた。


「年上を、からかわないでよ。」

背を向けた麻奈の手を、勇平は握った。

「からかっているのは、麻奈さんの方じゃなくて?」

麻奈は、急に振り返った。

「勇平君、酔ってる。」
< 47 / 81 >

この作品をシェア

pagetop