その瞳に私を写して
麻奈は涙で、顔がグチャグチャになっていた。

「そんな風に、思ってたんだ。俺の事、傷つけたくないって。」


そう言ってまた、笑っている。

麻奈は、それがイラっときた。

麻奈はその事で、ものすご~く悩んでたんた。


勇平の事を思うと、正也の事を忘れなきゃ忘れなきゃって。

それでも忘れられないのなら、勇平君とも付き合う事はできないって。

勇平が遊んでる雰囲気だったら、麻奈も悪いと思いつつ、遊んでたかもしれない。

でもこんな素直ないい子、麻奈には騙すことなんか、絶対にできないって、心の底から思ってたのに。


「とにかく離して。」

「やだ。」

「やだ~!?」

勇平は麻奈を、強く抱きしめた。


「勇平君……」

「離さない。」

そう耳元で囁かれた麻奈は、心臓がこれでもという程に、高鳴っている。

「俺から離れないって言ったら、腕を緩めてあげてもいいよ。」

「はあ~?」

「言うの?言わないの?」
< 50 / 81 >

この作品をシェア

pagetop