その瞳に私を写して
「分かった、言う言う!離れない、離れない。」

「な~んか胡散臭いなあ~。もう一回!」


勇平は、この状況を、逆に楽しんでいるようだった。

「何言ってんの!自分が離したくないから、そんな事言ってるんでしょ。」

今度は、へへへっという声が、聞こえてきそうだ。


「分かった?」

「分かるよ!!」

それよりも、早く放してほしいと、麻奈は思った。

「分かったんなら、諦めたら?」

「はあ!!」

「離さないって、言ったもんね~。」


そう言って、また得意の笑顔だ。

「ごめん、本当に放して。」

「また~、麻奈さん諦め悪いなぁ~。」

「私、トイレ行きたいの。」


その瞬間、勇平は腕を、180度開いた。

そ~~~っと放れた麻奈に、勇平はトイレに向かって、どうぞという仕草。

さすがの勇平も、まだまだだなと麻奈は思った。
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