その瞳に私を写して
「年下の彼氏?」

「勇平が、いるだろ。」

麻奈は、不思議に思った。

どうして、別れてから一度も連絡を取っていない正也が、私の恋愛事情を知っているの?

「どうして勇平君が、私の彼氏になってるのよ。」

「えっ?あれっ?」

正也は、目をぱちくりさせている。


「勇平君がそう言ったの?」

「いやあ?」

「編集長?」

「編集長は、恋愛話しないだろう。」

「じゃあ、一体誰がそんな事言ってたの?」

正也はスーッと椅子を回して、麻奈に背中を向けた。

「誰も。」

「正也?」

「という事はまだあいつ、お前さんに手、つけてないって事?」

「そういう問題じゃない!」

麻奈は、机を思いっきり叩いた。


「どうして正也が、勇平君と私の事知ってるの?」

「さて、どうしてだったかな。」

「とぼけないでよ!もしかして、勇平君を私に仕向けたの、正也なの?」

「何、その理屈。」

「じゃあ何なのよ。」

「何なのよって、言われてもな。」


麻奈は、だんだんイライラしてきた。

正也は私が正也と別れた後、勇平君と出会うことを知っていた。

それって正也と勇平君で、自分を騙してたって事なのか?
< 56 / 81 >

この作品をシェア

pagetop