その瞳に私を写して
私の仕事に必要な人
朝起きて、麻奈が一番に最初に目にする物。

正也と一緒に写った写真。

朝からため息を一つ。


「ああ~、早く捨てなきゃ。」

正也と別れて3ヶ月も経つのに、寝室に未だ二人の写真を飾っている。

捨てよう、捨てよう。

そんな事言って、どのくらいになるのだか。


そしてリビングに行っても、二人の写真は飾ってある。

つくづく自分の弱さを、麻奈は見せ付けられているような気がする。

そしてつくづく、正也が麻奈の人生において、重要な人だったか見せ付けられる。

「仕事行くか~。」

その日も麻奈は、自分の家から逃げるように、外へ出た。


朝、会社までの道を、時計を見ながら歩いていると、後ろからものすごい勢いで、コツコツと靴の音が聞こえる。

「Good morning,Mana!」
(おはよう、麻奈。)

「Good morning,Cathy」
(おはよう、キャシー。)
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