その瞳に私を写して
再認識
「う~!寒い。」

風が冷たいのは、季節のせいか。

それとも、気持ちのせいなのか。


荷物をまとめて出てきたのはいいが、この後どうするか、勇平は全く決めていない。

すぐそこのベンチが、空いている。

とりあえず座るか。


勇平は近くの公園に行き、子供達がバスケをしているのを見ながら、空いているベンチに座った。

疲れた。

とにかく疲れた。

そんな感じだ。


そんな時、自分の前を、見覚えのある人が通った。

相手は途中で勇平だと気づき、慌ててコートで顔を隠しながら、通り過ぎようとした。

だが、一部始終を見ている勇平には、”相変わらずだな”としか思わなかった。


「中谷先輩。」

勇平が声をかけると、正也は立ち止まってしばらく振り返らなかったが、そのうち腹を決めたのか、勇平の方を向いた。

「お~、誰かと思ったら勇平じゃないか。」

正也はいかにも今、気づいたという態度。

「先輩。少し前から、俺だって気づいてたでしょ。」
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