その瞳に私を写して
「先輩。」

「ん?」

「なんで、ダブルベッドなんですか?」

「ああ、これね。」

正也は、備え付けの冷蔵庫からシャンパンを取り出した。


「おねえちゃんと寝るのに、ダブルじゃないと狭いだろう?」

なるほどと思いながら、勇平は近くのソファに座った。

正也は、シャンパンをグラスに注いで、勇平に渡す。

乾杯が終わると、正也はグラスを一気に空けた。


「そう言えば、お前の写真展、俺見たぜ。」

「どうも。」

勇平はグラスを持ちながら、頭を下げた。

「麻奈の写真に、賞が貼ってあった。」

「はい。」

「お前、嬉しかっただろう。」

「そりゃ、まあ……」

「俺は、お前が日本にいた時の写真の方が、好きだがな。」

勇平は、呼吸が止まった。


「お前、NYに来て小さくまとまっちまったな。」

勇平の目線が、泳ぐ。

小さくまとまったって、どういう意味だと、勇平は考える。

「麻奈の事も、そうなんじゃないのか?」
< 65 / 81 >

この作品をシェア

pagetop