その瞳に私を写して
だから勇平は、憧れにも似た感情を持ち続けたのだろうし、麻奈は勇平の事を、彼氏の後輩としか覚えていなかったんだろう。


「初めて。」

「あ?何が?」

「正也が嫉妬してたなんて、初めて聞く話。」

「嫉妬かどうか、わからねぇって言っただろ。」

「ふふふふっ。」


それで勇平の気持ちは、そのうち冷めるだろうと思ってた。

そんな時、長い付き合いの甘えが出た。


正也は他の女とも遊ぶようになって、勇平にも何人か紹介するようになった。

無論麻奈と、別れるなんてさらさら考えてなかった。

ほんのちょっとの遊びのつもりで、麻奈も最後は許してくれると自負していた。

正也が自分勝手に。


そんなある日の事だった。

いつものように、軽いノリの姉ちゃんと遊んだ帰り。

正也は急に、仕事の事を思い出して、事務所に寄った。

そこには遅くまで、カメラの事を勉強している、勇平の姿があった。


正也は酔っ払いながら、勇平に話しかけた。
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