その瞳に私を写して
クリスマスの夜
麻奈は走った。

とにかく走った。

一分一秒でも早く、そこにたどり着かなければならない。

そんな感じがしたのだ。


正也にもらった地図を頼りに。

「何なの。この適当な地図。」

麻奈は、地図を回したりして、周りの建物と一致させようとするが、それもできないらしい。

正也の地図と自分の勘で、なんとか二人が泊まっているホテルに、麻奈はたどり着いた。


ホテルの中に入り、二人の部屋の前へ急ぐ。

部屋の前のドアに着いた麻奈は、息を飲みドアを叩いた。

だが中からは、返事がない。


「もしかして、いないの?」

急いで来て損した。

でも少し安心もした麻奈。

そこにホテルの従業員が、麻奈に話しかけた。

「お客様。こちらの部屋のお客様に、何かご用件でしょうか。」

「あ……いえ……」

まずい。

ホテルの従業員に、怪しく思われている。

「ははは。」

麻奈はとりあえず、笑って部屋の前から立ち去った。
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