【短】Love Maneuvering
「寛人、また?」
「やっぱり、永井のことは未だに把握出来ないな…」
あたしは、今日もまた飽きずにノートへと何かを書き足している寛人に向かって、わざとらしくうんざりしているような顔つきで呟いた。
…クラスが同じになってすぐに席が隣になって、それがきっかけで色々と話すようになったんだけど。
それから、何度か席替えをして…席が離れてしまってからも。
何時の間にか、その持ち歩いているノートにいつも、何やらいそいそと書き込んでいる様子を見つめるようになって…。
それに合わせるかのように、どれだけ席替えで席が遠く離れても、寛人との距離が離れることはなくなっていた。
そう…「香田くん」から「寛人」と呼ぶようになったのにも、時間はそう掛からなかった。