世界中に続く空
「何の話」


「そっちのあんたも知らないようね。新聞見てみなよ。一日に必ず一ページは、戦争についての記事が載ってるんだよ。一ページより多く、血を流してる人がいるんだよ。あああムカつく! 何であたしが皆知ってて当然のことを、あんたたちに教えてあげなきゃいけないのよ」
 
涼は目の前で激昂する女に、とりあえずりんごジュースを差し出した。

飲みかけだけど、と言葉を添えてやると、彼女は微かに笑ってジュースを飲んだ。

ありがと、と紙パックが涼に返されたときは、それは既に空だったが、彼は何も言わないでおいた。
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