世界中に続く空
「あたしの名前は鈴村美香。覚えておいて。いつか、どこかの新聞に載っているかもしれない。いや、載る! それを見て、自分の言葉を恥ずかしがることね」

彼女はぱっと立ち上がり、扉を開けて姿を消してしまった。
 
残された二人は、彼女を追いかけるのも忘れ、ただ呆然と空を仰ぎ見た。

「なんだったんだ」

「二年のスリッパ履いてたぜ、あいつ。年下に、何であんなにまくしたてられなきゃいけないんだ」
 
涼と一樹は同時に溜息を吐き、互いに目を合わせた。
 
雲は風に導かれ、ゆっくりと動いている。

そうして、世界を見て回るのだ。

「……職員室に、新聞あったよな」
 
一樹は立ち上がった。涼も続く。

「何だよあいつ、言いたいことだけ言ってさっさとどっか行きやがって!」

「授業が始まるからじゃないの」
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