君と明日を描く物語
モノトーンな毎日
「後悔しないように」じゃなくて


「後悔を減らす」ように努力するんだ。



彼が口癖のように言ってた言葉だ。





※※※





私の見る景色はいつも鈍色。


4月、高校1年生の春。


私、日向莉紗(ひなたりさ)はいつものように教室の窓から外を眺めていた。


生きる気力もなく、今日も静かに深く息を吐いた。


何もかもが鈍色に見える。


あの散っていく桜も、空も、すべてが……。


ぜんぶ鈍色。


もし、あのとき……。


「莉紗、おはよー!」


聞こえた声に、私はいつの間にかうつむいていた顔を上げた。


「……葵(あおい)、おはよー」


投げられたあいさつに笑顔で返事をすれば、ニコッと笑う彼女。


パタパタと駆け足で遅刻ギリギリに教室に着いた彼女──葉山葵(はやまあおい)の笑顔を見ると思わずホッとした。


「今日も暑いね。まだ4月だって言うのにね」


葵が制服の襟もとを仰ぐ。


つられて私も制服の襟もとを仰いだ。


「莉紗は髪結ばないの?暑くない?」


葵は私の鎖骨下まであるセミロングの髪に触れた。


「暑いけど……」


「」
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