お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。
(手紙…?)
一同がダンレッドの手元を覗き込む。
宛先はサーシャであり、そこには青いインクで綺麗な文字が綴られていた。
『Dear サーシャ
久しぶり。元気にしているかな。
二週間後は、僕が王位を継承する戴冠式だ。今、僕は準備に追われて、忙しい毎日を送っているよ。
戴冠式は、各地からあらゆるゲストが集まり、我がラインバッハ国と国交のある外相達も数多く出席する予定だ。
だから、僕はこの機会に、君を正式な妃としてゲスト達の前で紹介しようと思う………』
「わっ!ぷ、プロポーズですか!!これは!!」
「そうよ!つまり、そういうことよ!!」
手紙を読むなり、興奮の声を上げるルコットと私。
ぱちぱちと瞬きをしているサーシャも、頰が真っ赤だ。
アレンも、ふっ、と微笑んで顎に手を当てる。
「さすがですね。戴冠式で正式に発表すれば、国内外問わず、サーシャ様の存在を強く知らしめることができる。王子から直接宣言され、婚約者から妃となれば、令嬢達からの嫌がらせもおさまることでしょう。」