お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。
語られた推察に、唸る一同。
メルさんの言った通り、全ての事件の糸を引く黒幕がいるとすれば、今回の戴冠式で直々に罠を仕掛けてくるかもしれない。
舞踏会の時の二の舞にならないためにも、あらゆる事態を想定して動かなければならないのだ。
「つまり私は、本物のサーシャが王妃として挨拶をする時までサーシャになりすまし、その間に仕掛けてきた黒幕を返り討ちにすれば良い、ってことですよね…?」
私の言葉に、メルさんはぽつり、と呟いた。
「そうだね。悪役令嬢の最後の仕事だよ。」
どくん…!と胸が音を立てた。
私がサーシャになりかわるのも、これが最後。
ここまで来たら、何が何でもサーシャの結婚を成功させてみせる…!
「分かったわ!どこの誰だか知らないけど、どこからでもかかって来なさい!!絶対、邪魔なんてさせないんだから!!」
「お嬢様。やる気になるのはいいですが、品に欠けるので、会場ではそのような発言は控えて下さいね。」