潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
翌朝気づけば、彼の研修期間は残り二日となっていた。
出勤してパソコンの電源を入れてそれに気づき、もうお別れ!?と思うと、言葉も出ないくらいに焦りを感じた。


土曜日のデート以来、彼とはゆっくり話をするチャンスもないままだった。

朝はいつも以上に早目に出勤し、夜は遅くまで残業。
元彼と別れた時と同じように、尚行さんとはオフィス以外ではすっかり「すれ違い」の状態が続いている。


(このままお別れなんて不安。今夜会う?と言ってラインを送ろうか。ああ、でも、まだまだ見通しの付いてない商品もある)


生産のピッチを速めて貰うようには指示してある。
これ以上、生産性を上げるとなると何処かで無理も生じるし、間違って商品の品質が落ちでもしたら営業自体にも影響が出てくる。


(マザーズの商品は添加物を使わないから安心して購入して貰えるんだ。それなのに、その品質自体が危うくなる様なことが起こったら……)


間違っても生産ピッチをこれ以上上げる訳にはいかない。

ラインは取り敢えず明日まで全稼働が決まってるんだし、連休中も商品によっては何本か稼働させる体制も整えている。


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