潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
それに、きっと彼の部屋は私の部屋よりも綺麗に決まってる。

副社長するくらいの人だからハウスキーパーとか定期的に入ってるだろうし、そういう人達が片付けた部屋に住んでいる人に、私のこの凄まじい部屋を見られたくない……。

仕事以外、何もできない女だと知られるのが怖い。
彼には、私の現実を知って欲しくない__。


妙なプライドみたいなものを感じてへたり込んだ。
泣きながら笑って、でも…とやっぱり思いもして__。


(彼ならこんな私でもいいと笑ってくれないかな。仕事頑張ってるんだから出来ないこともあるよ、なんて良いように受け止めてくれないかな)


都合のいいことをまた思いながら息を吐き出す。
それは元彼の智司が前に言ったセリフで、私はそれに安心しきって、素を彼に見せ過ぎたからフラれたんだ。


本当は誰だって、女性の部屋は綺麗に越したことはない。

料理だってちゃんと作れて、掃除だって面倒くさがらずにして、清潔でいい匂いがしていて、花なんかさり気なく飾ってあって、植物や小物が窓辺に置いてあって……。


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