潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
折角ですから親睦を深めましょう…と言う彼女は、もちろん越智さんの研修お疲れ様会も含まれてます!と胸を張るんだが、多分、彼がイケメンなのを知り、これを機会にお近づきにでもなりたいとでも考えたんじゃないだろうか。


だから、普段は誘わない私を盾にしてまで、彼と一緒にアルコールを飲みたいのでは…と呆れて彼女の顔色を確かめた。


「主任も一緒に飲みますよね?だって、明日から連休だし」


今年の休みはいつもよりも長いから多少羽目を外しても平気ですよねー、と燥ぐ彼女だが、生憎私はそんな明るい気分ではなくて__。


「ごめん。私…先約があるの」


断りながら彼を見て、越智さんは?と助け舟を出す。
彼はその声に目線を向け直し、やれやれといった顔つきで断った。


「すみませんけど、俺もちょっと」


言葉を濁す感じでやんわりと拒否。
新人社員の彼女はムッとして、なんだ、つまらない…と子供のように拗ねた一言を発しながら踵を返した。


「いいです!もうっ」


ご機嫌を損ねた感じで自分のデスクへと戻って行く。
私はそんな子供っぽい彼女に息を吐き、椅子に座ってから彼を見つめた。


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