潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
彼は私の顔をポカンとしたまま見つめてる。
それが、この間は速攻で断ったくせに何だ…と言ってるようにも見え、次第に肩が竦んでいく__。


「いいのか?」


確かめる様な口調で問われ、コクッと首を縦に振った。

昨夜あれほどダメだ…と自己嫌悪に陥ったが、やっぱり私には、嘘とか誤魔化しとかは似合わないと判断した結果がこれ。


「それじゃ……お邪魔しようかな」


思わぬ展開に尚行さんの方が戸惑ってる。
私はそんな彼に頷き、飲みかけのままだったカフェオレを一気に呷って空にした。


不安が何もないと言えば、当然それも嘘になる。
だけど、ここをスルーして彼との付き合いを継続しても、きっとまた別のところで綻びが生まれ、駄目になるんじゃないのかな…と考えた。


どうせ壊れるのなら早い段階の方がいい。
その方が傷も浅くて済むし、智司の時の様に、深く落ち込まなくてもいい筈……。



そんなことを思いながら彼の車に乗り込み、自分のマンションまで辿り着いた。
一応契約してある駐車場に車を停め、二人で玄関に向いて歩いて行く。


< 154 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop